







**「青の灯(あかし)」**
蝉の声が途切れる 夕暮れの岸辺
揺れる提灯の灯(あか)りに 影が伸びる
君の名前を書いた 小さな舟に
そっと添えた 花と祈り
「準備できたよ」 静かな声
ゆらりと映る 二つの影
「届くといいね」
「ええ、きっと」
そっと指で 舟を撫でた
青の灯が流れてく
静かに夜へと溶けるように
ありがとうも さよならも
波にのせて 消えていく
青の灯が流れてく
静かに夜へと溶けるように
ありがとうも さよならも
波にのせて 消えていく
あの日交わした 最後の言葉
まだ耳に残る かすかな響き
「頑張れよ」と 震える手が
僕の背中を 押していた
遠ざかる舟を見つめながら
涙を隠す 母の横顔
「見てるかな」
「ええ、きっと」
夜風がそっと 髪を揺らす
青の灯が揺れている
君の面影 映しながら
ありがとうも さよならも
波にのせて 流れていく
届かなくても 届かなくても
この手を伸ばして 願いを託す
君の眠る空に向かって
いつかまた逢えるように
青の灯が消えるまで
見届けながら 歩いていく
ありがとうも さよならも
風にまかせて 旅立ってく
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