鹿児島港から週2本の夜行フェリーで7時間、トカラ列島の中之島は4つの温泉がわき出す温泉天国!
無料の共同浴場が2つあるほか、日帰り温泉施設と、限られた人しか入れない隠し湯も!?
もちろんすべて源泉かけ流しです。4つの温泉を紹介します。
朝6時に島に着いたら、宿で朝ごはんを
鹿児島港からの夜行フェリーは、南北160kmに連なる島々を北から順に結びます。
2番目の中之島に着くのは朝6時。薄暗い港に降り立つと、宿のご主人が迎えに来てくれていました。
今回の宿は、「大喜(おおき)旅館」。飲食店がない中之島では、宿で滞在中すべての食事を出してもらえます。
木をふんだんに使った建物は、きれいで風通しも良く快適。部屋に荷物を置いて、朝食までの時間で軽く集落を散策します。
西区温泉:硫黄泉を源泉かけ流しで
宿から歩いて数分のところにあるのが、西区温泉です。東区・西区と2つの共同浴場があり、それぞれ集落の方々が管理されています。
男湯の扉を開けると、早速ふわりと硫黄の香りが漂ってきます。
絶妙に調整されたパイプから、熱い源泉が注がれています。底からお湯をかき混ぜて温度をならしてから浸かれば、ピリリと熱い湯は寝ぼけた身体をほぐしていきます。
青白いお湯には細かな湯の華が漂い、舐めてみると硫黄とカルシウムの苦味を感じます。
意外にも湯上がりはさっぱりして、ベタついた感じはしません。誰も来ないのをいいことに、脱衣所でしばしクールダウンしてから宿に戻りました。
「西区温泉」の詳細情報
施設名 |
「西区温泉」 |
住所 |
鹿児島県鹿児島郡十島村中之島 |
利用料金 |
無料(ぜひ寄付を!) |
宿に戻って、トカラ馬を見に行く

宿に戻ると、朝ご飯が用意されていました。鹿児島らしい白い麦味噌のお味噌汁が、長旅の疲れを吹き飛ばしてくれます。

島の百合は、大きくて鮮やか。
ひと息ついて、さて1日何をしようかとガイドマップを開きます。すると、気になる「トカラ馬」の文字。
在来種の馬が放牧されているそうで、予約すれば牧場を運営している方にガイドツアーをしてもらえるそう(僕が訪れたときは、予約しそびれて参加できませんでした)。
共同浴場には手書きの「トカラ馬新聞」が貼り出されていたこともあり、気になって見に行こうと思い立ちます。宿の方に作ってもらったお弁当を手に、いざトカラ馬牧場へ。
トカラ馬牧場は、集落から坂を登って3km弱のところにあります。山の中腹に広がる草原に、放牧された馬がいました!
望遠レンズをもってこなかったので遠い写真しかありませんが、のんびりと草を食む馬たちを見られて満足!
雨が降ってきたので急いで引き返し、お弁当は宿でいただきました。
見た目以上にボリュームのあるお弁当にすっかり満腹。天気が回復したので、ふたたび湯めぐりに出かけます。
東区温泉:濃厚な硫黄泉にびっくり
少し歩いたところにある、もう一つの共同浴場。泉質は東区温泉と同じ硫黄泉ですが、西区温泉の方が硫黄と塩分が濃いような気がします。
やはり熱めのお湯で、よくかき混ぜて入ってしばらくすると慣れるくらいです。
東区温泉は、浴場と脱衣所がつながっている昔ながらの造り。島の学校だよりなど、ローカルすぎる情報を眺めながらクールダウンしました。
「東区温泉」の詳細情報
施設名 |
「東区温泉」 |
住所 |
鹿児島県鹿児島郡十島村中之島 |
利用料金 |
無料(ぜひ寄付を!) |
東区温泉・西区温泉泉質「含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物硫酸塩泉」についてもっと詳しく
[onsenLink]ID=7733[/onsenLink]
島の共同浴場に寄付して名前を刻もう(1,000円~)

こっちは西区温泉の脱衣所です。
脱衣所の壁には、びっしりと寄付者の名前が書かれています。西区温泉・東区温泉とも入浴料金は無料ですが、島の内外からの寄付に支えられています。
よく見ると毎年のように通っている島外の方も多く、根強いファンの多さを感じます。寄付額はいくらでも大丈夫ですが、1,000円以上寄付すると1年間名前を張り出してもらえます。
簡単には行けない離島の温泉。名前を残すのはよい記念になるでしょう。
沖縄と九州の間にあるだけあって、台風が通るたびに大きな被害を受けるトカラ列島。過去には共同浴場が全壊する被害を受けたこともあったそう。
地元の人たちとファンの手によって再建された新しい浴場に感謝の念がこみ上げてきます。

こっちは東区温泉。
2つの共同浴場は、どちらも岸壁に寄り添うように建てられ、道路から階段を降りて行きます。
事前に知らなければ気づかず通り過ぎてしまいそうな見た目ですが、台風の被害をやわらげる工夫かもしれません。
無人で、好きなときに入れる共同浴場。なんとも鄙びた雰囲気が旅情を掻き立てます。
「くつろぎの湯」はシャワー付きで上がり湯に最適
東区温泉と西区温泉のあいだ、集落の中心にあるのが、島に唯一の日帰り温泉「くつろぎの湯」です。
石鹸・シャンプーは持参する銭湯スタイルですが、300円とたいへんお手頃。
地元の子どもたちやお年寄りの作品が展示されています。福祉施設を兼ねているようで、全体的にバリアフリーなのも好感です。
お風呂は、源泉かけ流しの温泉と水風呂が1つずつ。
2つの共同浴場の間にありながら、透明のあっさりしたお湯です。舐めてみるとダシ感がしっかりと感じられ、なかなかいいお湯だと感じました。
塩分とカルシウム・マグネシウムを含み、成分は見た目よりも濃いかもしれません。
硫黄泉でスベスベになった肌をやさしく保湿してくれそうなお湯で、この順番で湯めぐりしてよかったと心の中でドヤ顔になりました。
営業しているのは、火・木・土の3日間。無人のことも多いため、自分で料金を払って人数カウンターを動かしておきましょう。
近くに自動販売機があるので、小銭が足りないときは風呂上がりのドリンクを先に買いましょう。
「くつろぎの湯」の詳細情報
施設名 |
「くつろぎの湯」 |
住所 |
鹿児島県鹿児島郡十島村大字中之島 |
営業時間 |
15時00分〜21時00分 |
営業日 |
火・木・土(月・水・金・日休み) |
利用料金 |
島外300円、島民100円(島民の子どもと高齢者は50円) |
「くつろぎの湯」の隣には村役場の出張所があります。帰りのフェリーの券は、出張所の開いている時間に買っておく必要があります。
くつろぎの湯の泉質「ナトリウム・カルシウムー塩化物硫酸塩泉」についてもっと詳しく
[onsenLink]ID=7538[/onsenLink][onsenLink]ID=7946[/onsenLink]
地図にのってない“隠し湯”にも入らせていただきました
中之島には3つの温泉があると言われていますが、実はもう1つ温泉があるのです。
地図にはのっておらず、私有地の中に湧きだしています。場所が分かった方は、その場所を管理する方に許可をいただいて入りましょう。
傾いた壁、ふだんから利用している方々が置いたシャンプーやボディソープのボトル……ジモ泉らしい雰囲気にワクワクします。
くつろぎの湯に近い透明なお湯は、カルシウムとわずかに鉄分を含みます。他の温泉と比べるとぬるめで、気持ちよくて長湯してしまいました。
宿に戻って「何もしない時間」を満喫
無事に島にある4つの温泉を制覇し、まだ日が高いうちに宿に戻りました。
ガイドツアーやレンタカー(宿の車を借りられます)などは事前の予約が必要だったのですが、温泉のことで頭がいっぱいで、下調べせずに来てしまいました。天候や時間を考えて、あえて何もしないことを選びました。
ごろんと畳に寝転び、網戸から吹き込むおだやかな風を子守唄に、ひと眠りしました。
晩ご飯の時間に起き出して、食堂に向かいます。
島でとれるタケノコやカツオなど、晩ご飯も豪勢! 思わず無言で完食してしまいました。
温泉めぐりをしている以外は、実家でゴロゴロしているような1日だったなぁと心の中で苦笑しながら、焼酎のお湯割りをクイッと飲み干します。
鹿児島港に戻るフェリーは、奄美大島の名瀬から順番に北上してくるので、中之島に着くのは10時過ぎ。
最後の食事をいただいて、フェリーを待ちます。
「大喜旅館」の詳細情報
施設名 |
「大喜旅館」 |
住所 |
鹿児島県鹿児島郡十島村大字中之島133 |
電話番号 |
09912-2-2110 |
利用料金 |
1泊4食13,090円~(税込) |
港にはトカラヤギもいました。子ヤギのようですが、本土に送られるのでしょうか。
1晩過ごしたフェリーとしまが、奄美大島から戻ってきました。
個性豊かな4湯の思い出と硫黄のにおいを胸に、次の島に向かって出港しました。
トカラ列島の旅は、とにかく予約が大事!

口之島に入港する「フェリーとしま」
トカラ列島初訪問の僕は、各島に湧く温泉に入れただけで十分すぎるくらい満足ですが、もっと島を楽しみたい方は事前の情報収集をおすすめします。
●宿はとにかく早めにおさえる。取れなくてもあきらめない
どの島も宿泊施設が少なく、工事で長期宿泊する方も多いため、宿の確保が第一優先です。口之島と悪石島にはワーケーション施設がありますが、他の島では民宿の予約が取れないと選択肢がキャンプのみになります。
なお、天候などのせいか、キャンセルになる場合も少なくないようで、一度宿が取れなくても諦めずに何度か問い合わせてみましょう。
●島をくまなく巡るにはガイドツアーかレンタカーがおすすめ
中之島は大きい島で、1泊では歩いてまわりきれませんでした。常に晴れるとも限らないため、車があった方が遠くまで行けるでしょう。
十島村では各島にボランティアガイドがいるため、事前予約で島を案内してもらえます。
また、宿泊施設によっては車を借りられる場合もあるので、予約の際に聞いてみましょう。
●わからないことは島の人に聞く
本来では営業していない時間に売店を開けてもらえたり、逆に売店の方の予定で臨時休業になったりと、ネットで調べた情報があてはまらない場合もあります。
「こんなことできるかな?」と思ったら、島の人に聞いてみましょう。地図にのっていない観光スポットや、おすすめ情報などを教えてもらえるかもしれません。
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