







**「風のように君は」**
あの教室の隅で 君はノートに落書き
窓の外に手を伸ばして 風を捕まえようとしてた
「バカじゃないの?」って笑う君の横顔が
どうしようもなく まぶしくて
自転車のペダルを踏み込んで
夕焼けの影を追い越した
「もっと速く!」って叫ぶ声
僕の胸に焼きついたまま
あの夏、君を追いかけた
届きそうで届かない距離
遠回りしても 君を見ていた
でも気づけば 背中ばかり見てた
君の好きだった小説 僕も読むふりして
わからない言葉を調べながら
「ねえ、貸してあげるよ?」って
君がくれたページの端には
小さな花の押しあと
夜の校庭で君は言った
「いつか私を忘れるの?」
黙ったまま手を伸ばして
でも指先 すり抜けていった
あの夏、君を追いかけた
触れそうで触れない心
不器用な僕の背中越しに
君の涙 こぼれていた
もしもあの日に戻れるなら
伝えたい言葉がある
「君が好きだった、ずっと」
でも今はもう遅すぎるね
風の匂いが変わる頃
君の姿を見失った
遠ざかる影に手を振って
そっとさよなら、風のような君
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