







**「螺旋」**
静寂のドアを開けた先で
絡み合う影と影
時計の針は逆さに回り
名前も知らぬままに
「どこへ行くの?」
「風の向く方へ」
運命さえも
ただの偶然みたいに
愛は螺旋を描きながら
すれ違って ほどけてゆく
引き寄せても すぐ離れる
それでもまた 求めてしまう
薄暗い廊下の隅で
指先が触れた瞬間
昨日も明日も霞んでいく
今だけが真実になる
「忘れられる?」
「忘れたくない」
傷つくことも
許された気がした
愛は螺旋を描きながら
絡み合って ほどけてゆく
避けられない この引力に
身を委ねて 溺れていた
出口のないこの夜に
何度も同じ夢を見る
遠ざかる背中ごし
「またね」も言えず消えていく
愛は螺旋を描きながら
すれ違って ほどけてゆく
終わりのない この運命を
知りながらも 求めてしまう
雨が降るガラス越しに
君の姿は霞んでいた
それでもまた どこかで誰かが
螺旋の中で迷い続ける
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