








**「きみを見た気がした」**
ねぇ また 山の夢を見たの
朝焼けの あの稜線に
きみが立ってるの ぼんやり遠くで
名前を呼ぼうとして 声にならなかった
またその夢か 君らしいね
こっちは街の騒がしさに
耳をふさぐ日々だった
でも なんだろうな
急に 冷たい風が吹いて
懐かしい匂いがしたんだよ
そこにいるのかもね
うん でも姿は見えなかった
わたしも見たとは言えないけど
気配だけが やけに確かで
きみを見た気がした 雲の隙間で
言葉もないのに ちゃんと通じた
「そこにいるよ」って ただそれだけ
だけど それだけで 今はいいよね
あのとき 何を探してたんだろ
地図も答えもなくて
ただ歩くしかなかった
それでも ときどき笑ったね
くだらない話で 雪の中でも
うん コーヒー凍った日とか
君がふざけて手袋投げて
ああいうのが なんか
ぜんぶ まだ胸にいるんだよな
あの日は終わっても
心だけ 置いてきたみたい
だからこうして また夢で逢うんだ
きみを見た気がした 風の中で
理由もなくて でも 確かで
会いに行けない場所だからこそ
そこにいるって 思える気がした
もう追わなくていい ただ感じてたい
きみの声も 足音も ぜんぶ
きみはどこにもいないようで
ちゃんと どこにでもいるんだ
きみを 見た気がした
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