








**「自由なる尾根へ」**
君と登った夏の山 朝5時の登山口
濡れた草の匂いと 遠くの蝉の声
寝ぼけた体に 空気だけが冴えてた
「今日は晴れそうだな」って 笑った君の横顔
水を多めに詰めたザック 汗がじんわり滲んで
一歩ごとに風景が ゆっくり変わっていく
木漏れ日がゆれて 時間もゆっくりになって
こんな静かな朝を 誰かに伝えたくなった
足元で鳴る砂利の音 リズムみたいに鳴ってる
ときどき風が 首筋をすり抜けてく
地図にマーカー引いた尾根 思ったより険しくて
だけど君がいたから 不思議と怖くはなかった
ねえ風よ、この背中 そっと押してくれないか
ねえ空よ、僕らの影を やさしく照らしてくれないか
汗と一緒に流れた いろんな弱さも
「自由なる尾根へ」って 今は誇らしく思える
尾根道は陽に焼けて 照り返しが眩しくて
シャツの背中に滲んだ汗 風が少し拭ってく
行く先にもくもくと 雷雲が育っていて
「午後には降るかもな」って 君がぽつりとつぶやいた
急なガレ場の坂道 手で支えて登ったね
「ここ、キツいな」って苦笑い だけどちょっと楽しそうで
教科書通りじゃなくても ちゃんと歩けるんだね
君の足音が そのまま僕のガイドになった
ねえ風よ、この先 僕らどこまで行けるだろう
ねえ空よ、どんな空模様でも 一緒に見ていたい
雷鳴が遠くで鳴っても 引き返す勇気も大事で
「自由なる尾根へ」って 選び続ける登り方
夏の夕立に打たれて 樹の下で雨宿り
何気ない会話の中に 安心って宿るんだね
いつかまた違う誰かと登るとしても
この日の匂いだけは ずっと忘れたくない
ねえ風よ、僕らが選んだこの山を信じてて
ねえ空よ、また夏が来たら 迎えにきてほしいんだ
あの時見上げた稜線を 今も胸に描いてる
「自由なる尾根へ」って またあの朝に戻りたい
投稿者 | スレッド |
---|