雲より上で君を見た(Ballad)
kazuo
Music(音楽)
:
2025/10/10 7:09
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**「雲より上で君を見た」**
登山口の看板が、古びた木で軋んでいた。
靴の音が土を叩き、息が少しずつ白くなる。
街を離れてから もう誰とも言葉を交わさず、
ただ君の背中を追いかけた。
風は冷たく、世界は遠く。
それでも君は軽やかに笑っていた。
僕はその笑顔の意味を知らず、
ただ「届きたい」と思っていた。
登ろう 心が震えても
登ろう 言葉が枯れても
僕らはまだ見ぬ空を 掴もうとしていた
愛とは 息を合わせることだったんだね
三合目で君が立ち止まり、
「このあたりで引き返す?」と訊いた。
僕は首を振った。
「君が行くなら、俺も行くよ。」
それから、霧が降りた。
道が見えなくなり、風が唸った。
君の姿がぼやけて、
僕は名前を呼んだ。
──返事は、風の中に消えた。
あの瞬間、僕は世界の音を失った。
足元の石も、手の痛みも、
すべてが遠のく中で、
ただ君の笑い声だけが、心に残った。
後で知った。
君はあの嵐の中で、道を譲ってくれたんだね。
僕を先に行かせて、自分は戻れなかった。
登ろう 君のいない空へ
登ろう 声を探しながら
風が頬を打つたび 僕は思い出す
「行けるところまで行こう」
君が言った言葉を
山頂に着いた朝、
雲の上で陽が昇るのを見た。
誰もいない静寂の中で、
僕は君に話しかけた。
「見えるかい? この景色を。」
そして、風が優しく笑った。
まるで君がそこにいるように。
この歌詞は、登山を舞台にした二人の記憶と感情の旅を描く叙事詩です。物語は山のふもとから始まり、登山道の風景や霧、朝露といった自然描写を通して、登場人物の距離感や心の動きを丁寧に語ります。叙情的なサビでは、心の震えや言葉にできない思いを吐露し、愛や絆を象徴的に表現しています。物語調の部分では二人のやり取りや出来事を具体的に描き、読者に情景を追体験させます。登山という比喩を通して、過去の喜びや喪失、後悔を映し出し、自然の雄大さと人間の儚さを重ね合わせることで、甘酸っぱい恋愛感情と深い内省を同時に感じさせる構成になっています。 ...
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