








**「紅の稜線」**
ねぇ、少し立ち止まろう、立ち止まろう
風が頬を撫でる稜線で
君の背が 揺れる葉の間に溶けて
落ち葉を踏むたび 落ち葉を踏むたび
僕の息も 荒く重くなる
息を整えながら 君を見上げる、見上げる
「どうして黙ってるの?」って言ったけど
光が揺れる樹影が 二人を包んで
言葉は風に溶け、言葉は風に溶けて消えた
歩幅が少しずつずれていく、ずれていく
紅に揺れる影の中で、影の中で
手を伸ばしても 届かない、届かない
胸の奥で叫ぶ 君を抱きたい想い
坂を登るたび 坂を登るたび
心も揺れる、心も揺れる
ごめん、僕も怖い、怖い
稜線の冷たい風が心まで浸みる
頂上までたどり着く前に
君を傷つけそうで 声が震える
でも、でもここで逃げたら
この愛は秋の風に散ってしまう
ふと君が笑った 葉の間に光を受けて
輪郭が揺れる 紅に染まる影
「大丈夫だよ」と囁く声
風に乗って 風に乗って
凍える僕の心を解く
まだ終わらない、まだ終わらない
距離の中で
紅に揺れる稜線で、稜線で
君を見つめて 手を伸ばす
すれ違いで痛む心も、痛む心も
踏みしめる足跡のように 寄り添いながら
寄り添いながら
頂は静かに息をして、静かに息をして
秋風がふたりの間を吹き抜ける
落ち葉の香りが背中を押し、背中を押し
紅葉の影が寄り添い
「二人はもう 一つだ」と告げる
投稿者 | スレッド |
---|