








**「森と壁のブルース」**
アハッ! じゃ、いくよー!
「用意できた?」って? うん、まあ…たぶん。
靴ひも結んで、チョーク詰めて――
朝の空気、冷たいなぁ。
昨日の夜はさ、森の匂いが頭に残ってて
本読んでたらさ、なんかページがざらざらして、
電話口の声とか、ふと思い出した。
「元気?」って聞かれても、どう答えたらいいかわかんないんだよ。
でもまあ、壁の前に立ったら
そんなこと全部、どうでもよくなる。
「いける?」「いくよ」って
ただそれだけ。
だからさ、もう一回 あの壁に連れてって
ここで踊るみたいに 手と足で刻むリズム
怖い? うん、ちょっとはね。
でも「大丈夫!」って笑っちゃうんだよな。
アハッ! 風が全部さらってくれる。
下から見たら高すぎるって? そりゃそうでしょ。
でも一手ずつだよ、一手ずつ。
親指でちょっと引っかけて、足をずらして…
ほら、思ったよりもなんとかなるんだよ。
森の奥のことも、井戸の話も、
誰かの声も、頭をよぎるけどさ――
ここでは岩としか会話できない。
それがけっこう心地いいんだ。
もう一回 あの頂上まで 連れてって
谷がダンスホールに見えるんだ
拍を踏んで、呼吸合わせて、
「大丈夫?」って? ほら見てろよ――
アハッ! 今のオレ、ちょっとカッコいいだろ?
ジャララッ!
ヒャイーン!
「まだまだいけるぜー!」ってね。
てっぺん立ったら、空が近すぎて笑っちゃった。
下を見たらさ、みんなが手を振ってて。
ポケットのチョーク、全部落としちゃったけど
まあ、いいや。ここまで来れたんだから。
だからさ、もう一回 何度でも 連れてって
壁っていうかさ、ダンスフロアなんだよ。
森も都会も思い出も みんな伴奏になってく。
アハッ! フィドルもう一発いけー!
…ジャンッ!
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