**「迷い沢に響く鈴」**
林道のゲート 錆びた鎖を越え
二人の影が 朝の霧に溶ける
「今日も無事に帰ろうな」 と笑った声が
鈴の音と重なり 森に消えていく
足もとにはまだ 名残りのウドの芽
蝶が舞い上がる 6月の空
「この山は人が少ない」 と君が囁く
迷いの沢を 呼ぶその名に怯えながら
見上げれば 送電線の下
白井岳も 余市岳も 霞の中
手を握る強さで 互いの不安を隠し
ただ鈴を鳴らしながら 登り続ける
森の切れ間から 光が射し込む
「もうすぐ山頂だ」 君が先を指す
刈られた笹道を 息を合わせて進む
胸の鼓動と鈴の音が ひとつに重なる
広がる空の下 手稲の峰が近い
切株に腰を下ろし 君と水を分け合う
「また来よう、この景色に」 その声を刻み
迷い沢に響く鈴は 帰り道を導く
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