








**「夏の頂へ」**
照りつける夏の太陽が、まるで焦げつくように
山道を染めていく。僕らは、汗が背中を伝うのも気にせず、
静かに歩きはじめたんだ。
乾いた風が君の髪を揺らすたび、
僕の胸の鼓動は速くなって、君の吐息に追いつけない。
足元から舞い上がる砂ぼこりが、夏の匂いを連れてくる。
何度かつまずきそうになる僕の手を、
君はふっと掴んでくれたけど、
暑さに溶けていく言葉は、どこか遠くで響いているみたいだった。
こんなにも暑くて、息苦しいほどなのに、
冷めない気持ちが、僕らの間に渦を巻いてる。
頂上を目指す足音は、確かに響いているのに、
時々僕らは、すれ違ってしまうんじゃないかって、胸がざわついた。
夏の強い光が肌をじりじりと焦がすこの道で、
僕らの心も同じくらい熱く燃えていた。
滴る汗と溢れる涙が混ざり合いながら、
ふたりだけの未来の地図を、少しずつ紡いでいく。
眩しすぎる青空の下で、
握った手が少しずつ熱を伝えてくる。
山頂じゃなくてもいい、
ただ君がいるなら、ここが僕の場所になる。
真っ青な空は、時に厳しい日差しを放ち、
頬を伝う汗は止まることなく流れ続ける。
君は前だけを見つめて、黙って歩いている。
その瞳の奥に隠された、迷いの影を僕はそっと見つけていた。
熱くなる言葉は、時に優しさ以上に鋭くて、
涼しい影を求めて彷徨うように、僕らはお互いの距離を確かめる。
でも少しずつ、理解が生まれて、
ふたりは夏の山道を、ゆっくりと確かめ合いながら登っていくんだ。
焼けつくような真夏の風が、そっと君の髪を撫でて、
笑顔がふと花開く瞬間を僕は見逃さなかった。
「もう少しだよ」って囁く君の声が、
いつの間にか僕の背中を押してくれていたんだ。
照りつける夏の陽射しのなかでも、
君とならどんな困難も越えられる気がした。
汗に滲む景色は、色鮮やかで生きていて、
ふたりの足跡は光となり、道を照らしていた。
苦しくても離さないその手のぬくもりが、
山頂の風のように優しく僕らを包み込んでくれる。
終わらない夏の物語を、
君と一緒にずっと歩いていきたい。
熱く燃えた夏を越えて、やっと辿り着いた頂で、
君の瞳が優しく僕を見つめ返した。
もう迷うことなく、歩ける気がしたんだ。
この道は、ふたりの永遠の始まりだって。
澄み渡る青空のもと、誓う言葉たちは、
夏の光に溶けて輝きはじめる。
君と登るこの山の頂で、
僕らだけの未来が、静かに息づいていた。
やわらかな夕暮れが全てを包み込んで、
静かに交わした約束の重みが、
胸にしみて、そっと歩き続ける。
夏の風が僕らを優しく祝福してくれている。
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