








**「あとちょっとで見えるって」**
ねぇ、あとどんくらい? って君が振り返る
「もうちょっとだけど… たぶんね」って笑う
木の根っこにつまずきそうになって
ふたりで「おっとっと」ってバカみたいだね
木段ばっか続いてさ 景色なんて見えないし
「なんでこんなとこ来たんだろ」
…とか言いながらもさ、
君の背中見てると元気出るんだよな
あとちょっとで見えるって 君が信じてくれるなら
この急な山道だって 悪くない気がしてくる
ほら、風が吹き抜けた 君の髪が揺れた
そういう瞬間だけで 頑張れるんだよなぁ
「もう無理かもー」「それ昨日も言ってたよ」
「靴脱ぎたい〜」「絶対だめ、それダメ」
くだらないやりとりで 登ってく道の途中
なんか知らないけど 楽しくなってく
息が切れて笑い声まじり
でも、君がふいに「来てよかった」って
言ったとき、不思議なくらい
空が近く見えたんだ
あとちょっとで着くからって ごまかし気味で言ったけど
この急な山道の先に きっと何かあるよね
「しんどいー!」って叫んでた 君が振り返って
「ねぇ、空きれいだね」って なんか泣きそうになった
たまに立ち止まってもいいんだよ
焦らなくてもいいよ
この道をふたりで歩いてる
それだけで十分だよね
あとちょっとが遠くても ふたりなら越えられる
汗だくでも、ヘトヘトでも 君となら笑える
山のてっぺんよりずっと 君の笑顔が好きで
「来てよかった」って 本気で思えた
「次は富士山とか行く?」
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