








**「声にならない夜」**
ねぇ
なんでもないようなフリをしてるけど
ちょっとだけ 今日の君は 目をそらすよね
ああ、わかってる 言わなくていいよ
たぶん、そんな日もあるってこと でしょ?
窓を開ければ
風が部屋の匂いを変えていく
ふたりの沈黙も ちょっと やさしくなった気がして
でも あの日交わした約束は
どこに置いてきたんだろう
探しても 手の中にない
たぶん、そっと落としてきたのかな
こんな風に 会話がずれてくのも
時計のせいなのか それとも
僕たちの心の歯車が すこしサビついてきたのかな
ああ 叫びたい
本当はずっと君に言いたかった
「好きだった」ってことも
「寂しかった」ってことも
言えないままで 飲み込んだ言葉が
胸の奥で爆ぜて 夜に響いてる
声にならない夜を 抱きしめて
ひとりきりで泣いたっていいよ
強がりの仮面を脱いだなら
少しだけ 本当の君に会える
嘘じゃないさ 僕はここにいる
いつだって 答えなんていらない
ただ隣で 聞いてるだけでいい
ねぇ、そう思えたら 少しは救われるだろ?
笑えるようなこと ひとつでいいから
ふたりの沈黙 溶かしてよ
マグカップの縁に残る リップの色を
愛しく思えた あの頃みたいに
あの日の空に もう一度戻れるなら
君に なんて言うだろう
「遅くなってごめん」って
それとも 「ありがとう」かな
夜が明けても まだ
声にならないまま 残ってる
あの言葉だけが
ただ、今も ここにいる
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