








**「夜風のシーソー」**
風が鳴いた 窓のすき間
誰の名前も呼べずに 揺れてた
ため息だけが 部屋の主になる夜
笑い合った日々の断片(かけら)が
心の奥 刺さるように光って
「好きだったよ」なんて言葉は
いちばん 遠くて
いちばん 近い嘘
あなたの左肩 少し低い理由(わけ)を
知っていたのに 知らぬふりしてた
「幸せになって」って
ねぇ 誰の幸せ?
愛してるって 言えば沈む
黙ってたら また昇る
この胸は 夜風のシーソー
あなたが笑えば 私は落ちる
でもね 本当は あの日からずっと
落ちっぱなしだったのかもしれない
赤いマフラー 置き去りのまま
季節はまた 何度目の冬だろう
抱きしめられるたび
誰かの代わりじゃなかったかって
問い詰める自分がいる
あなたが落とした鍵を まだ
ポケットの奥で握りしめてる
壊れていくって こういうことだと
知らされる日々ばかり
愛してるって 言えば壊れ
黙ってたら また続く
この胸は 夜風のシーソー
あなたが選べば 私は残る
だけど 本音は どこにも届かない
それが 愛だと知ってしまったから
ねぇ 戻れるなら どこまでが希望?
触れた頬? 見送る背中?
ねぇ 続けることと 終わらせることは
同じだけ 重いんだよ
愛してるって 最後に言えたら
このゲームも 終われたのかな
夜空に浮かぶ 淡い月だけが
私の嘘を 全部見ていた
あなたが笑えば 私は沈む
それでも…それでも…愛していた
風が止んだ 窓の向こう
朝が来るのが 少し怖い夜
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