








**「背中で泣いた夜」**
ねえ 君の声がまだ
この部屋の隅にこだまする
ひとりきりの背中で
季節が静かに通り過ぎた
テレビはもう映らない
古びたポスター剥がれかけ
カーテンの隙間に
思い出がそっと息をしてる
ほどけたネクタイ 慣れない料理
つまらない冗談に 君が笑った
どうしてあの瞬間(とき)を
引き止められなかったんだろう
今でも 君の影を抱きしめて
眠れぬ夜を過ごしてる
ひとりの片側 触れるたび
君の温もり まだ残ってる
もう戻れないとわかってるのに
夢の中だけ優しくなる
「さよなら」を繰り返すほど
君が遠くなってゆく
ねえ 誰かの肩ごしに
君の面影を探してる
笑顔ひとつ守れずに
愛を語った夜が哀しい
ありふれた約束に
僕はなにを重ねてたの
指先に残る香り
嘘みたいに 今も消えない
あの日の 君の声が胸を刺す
「好きだったよ」と背を向けた
ひとりの片側 静けさが
守れなかった 愛を責めてる
たとえば時を戻せたなら
君をもう泣かせないけど
そんな強さも持てなくて
僕は僕をまだ責めてる
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