**「ガラスの階段」**

夜の霞が関　影が交差する  
机の上のペンが　未来を決める  
高層ビルのガラスに　映る街の灯り  
だけどあの路地裏には　冷えた手が震えてる  

改札を抜ける足音　ため息と電車の揺れ  
スーパーの値札見つめ　カゴの中を考える  
「今日の特売、あと何が足りる？」  
「この給料で、何日もつ？」  
財布の小銭を指でなぞり　暮らしを計算する  

「それは前例がない」と  
「政治は理想じゃない」と  
交わす言葉は踊るけど  
市民の声はどこへ消えた？  

ガラスの階段を登るたび  
足元で軋む声がする  
税金の雨に濡れる　見えないピエロたち  
誰が先導するのか？　誰が音を消すのか？  
決定の舞台で　踊る僕ら  

赤坂の夜明け　グラスの音が響く  
豪華な晩餐会　肩を組む影たち  
天下りの椅子は今夜も　ぬくもりを宿し  
路線バスの運転手は　賃金の計算をする  

子どもの学費をかき集め　家賃の支払いを延ばす  
老後の貯金もできぬまま　月末がまた来る  
補助金のニュース流れるたび　誰のためかと首をかしげ  
通帳の残高　じっと睨む  

「官僚は歯車じゃない」と  
「政治家も操りじゃない」と  
すれ違う意志が今  
税金の渦に沈む  

ガラスの階段を登るたび  
地面が遠くなってゆく  
忖度と信念のリズム　崩れそうなタンゴ  
誰が幕を引くのか？　誰が光を当てるのか？  
虚構のステージで　踊る僕ら  

増税の影に埋もれた　あの公園のベンチ  
昨日も今日も明日も　ひとり眠る人がいる  
「理想を語るな」  
「現実に飲まれるな」  
交わした約束さえ　風に消えてゆく  

だけどこの街の片隅で　働く人の手の温もり  
朝焼けのなか並ぶ自転車　駅へ急ぐ母の背中  
壊れそうな均衡の中　それでも進んでゆく  
小さな日常のために　戦う人がいる  

ガラスの階段を踏みしめて  
割れた破片が散らばる夜  
歴史の上で揺れる　未完成のバレエ  
誰が最後に笑うのか？　誰が涙を隠すのか？  
この街の夜明けに　踊る僕ら  

夜の霞が関　影が交差する  
ペンの先にあるのは　誰の未来だろう？