**「灰色の花束」**
風がカーテンを揺らした。
──「また今日も、何も変わらないね」
そう呟いた私の声に、
窓の外の光が少しだけ返事をした。
枯れた花がまだ立ってる
意地みたいに、誇らしげに。
笑っちゃうよね、私より強い。
「誰も見てない」って言い訳しながら
今日もちゃんと、生きてる。
風が机の上を撫でて
散らかった手紙をひらひらと揺らす
「ねぇ、まだ終わってないよ」って
誰の声でもないのに、
なぜか涙が出た
ねぇ、どうせ明日も同じでしょ
でもそれでいい それでもいい
灰色の花束を抱えたまま
少しだけ歩いてみるよ
外の空気は少しあたたかい
世界は私を嫌ってなんかいなかった
月が言った、「ねぇ、泣くのはもうやめなよ」
風が笑った、「でも泣くのも悪くないさ」
私はうなずいた。「そうだね」って。
──少しだけ、心が軽くなった。
ねぇ、まだ好きなんだ、って言えたらいいのに
でももう、それも悪くない気がしてる
枯れた花が笑ってる 「それでいい」と
私は静かに、光の方を向いた
花びらがひとつ、窓の外へ
風が運んでいく
──たぶん、あれは私の心。
まだ、生きてる。
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