**「紅葉の声」**
「秋の山は語る。愛を、別れを、そして赦しを。」
ふたりの影が 長く伸びる夕暮れ
枯葉が足元で 小さく笑った
“あの夏を覚えてる?” 君が聞く
空は答えずに 淡く泣いた
鳥たちは西へ急ぎながら
まるで未来を知っているように飛んでいった
君の瞳は 沈む陽の色
悲しみさえ やわらかに包みこむ
紅葉が風に歌う 君の名を呼ぶように
山が静かに頷く 愛はまだここにあると
失くした日々の向こうで 光が滲んでいく
——秋の空が語る “それでも生きて”と
川が囁いた 「流れは止まらない」
石が応えた 「傷もいつか丸くなる」
そんな会話を聞きながら
君の手を取った 冷たくて優しいその手を
もう言葉はいらなかった
木々が代わりに祈ってくれていた
風が通り過ぎたあと 落葉が舞い上がる
まるで君の笑顔の残り香みたいに
それは消えずに 夜空の星に溶けた
紅葉が風に歌う 君の名を運びながら
山が微笑む “もう一度始めよう”と
悲しみを越えた心に あたたかい灯がともる
——秋の空が囁く “愛はここにいる”
「秋の山は覚えている。
泣いた日も、笑った日も。
そして、風の中で再び寄り添うふたりの影を。」
| 投稿者 | スレッド |
|---|


