
風の稜線で君を呼ぶ(Folk Ballad)
kazuo
Music(音楽)
:
2025/10/9 7:25
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**「風の稜線で君を呼ぶ」**
風が稜線を渡る。
葉が落ちる音が、まるで時間の欠片みたいに響く。
空はまだ薄い金色。
――静かな秋の始まり。
風が少し 冷たくなった
山は眠る支度をしてる
空は高く 君を映して
遠い記憶のように 透きとおる
落ち葉たちが 囁いている
「覚えているよ」と 足元で笑う
森が言う 「もうすぐ夢の季節」
枝の影が 頬を撫でた
君の髪のように 細く揺れる光
あの日の呼吸が 風になる
風よ 届けてくれ
あの笑い声を もう一度
君がいた秋の空を
心に いま 広げてくれ
風よ 連れていって
あの光の中へ
たとえ戻れなくても
この胸で 君が生きてる
川は静かに 時を運ぶ
君の声が 波に混ざる
空の端で 夕陽が泣いた
それでも美しいと 山が言った
風よ 伝えてくれ
終わりがこんなにも 優しいことを
君がくれた季節の中で
僕はまだ 息をしている
風がそっと 頬を撫でる
――ああ、君だ
枯葉が舞い 光が滲む
「また会おう」 風が答えた
秋の山を舞台に、かつて愛した人を想い続ける老人の心を描いた詩。風や木々、落葉といった自然が彼の記憶を語りかけ、失われた恋人の声と重なる。人のいない山で風と対話するように歌う姿は、喪失の悲しみと静かな再生の象徴。季節が過ぎても消えぬ想いが、風に乗ってめぐる命の循環として表現されている。語りとコーラスが交錯し、「風=記憶=愛」というモチーフが全体を包み、別れの哀しさを越えて、優しさと永遠の余韻を残す。 ...
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