








**「神々の頂」**
冷えきった指の先が
握りしめた写真を じっと見てた
あんたの目 あれは登る目だ
戻れねえことくらい とうに知ってんだろ?
風の音じゃねえよな
耳鳴りだとしても 本物だった気がすんだ
誰もいねぇ稜線の上で
生きてた証を問い続ける
凍てついた記憶の中
笑った顔が消えねぇんだ
標高の高さより重い
あの言葉が ずっと胸に残る
神々の頂(いただき)よ まだ見えねぇけど
この足で この命で たどり着くしかねぇ
「ただ登りてぇ」って叫んだ夜が
今も 俺を追い立てんだ
誰のためじゃねぇ 俺自身のためさ
果ての空に 爪痕 残すだけ
酸素なんてもう とうに薄れちまったけど
心ん中の火はまだ消えちゃいねぇ
あんたが見た世界の端っこに
俺も今 触れてみてぇんだ
「もう帰れ」って誰かが言ってる
風がそう聞こえるだけか
だけど心の中じゃずっと
「まだ行け」って 声がしてんだよ
神々の頂(いただき)よ 手のひらすり抜けて
それでも何かが そこにあるって信じた
凍えた夜空 白く吐いた息
あれが 俺の祈りだった
地図にない道を 一歩ずつ刻む
あんたの背中を 思い出しながら
これが答えか?
いや、まだ終わってねぇ
登ることしか 知らなかったんだよな
それでいいんだよな、あんたもきっとそう思ってるだろ?
神々の頂よ ただの石と雪じゃねぇ
あんたが遺した夢と 俺が持ってく炎
震える足で 命をすり減らしながら
登りきる その瞬間まで
俺は俺で在り続ける 誰にも届かなくても
この空に 叫びを残してく
でも確かに“そこにいた
投稿者 | スレッド |
---|