








**「夜に溶けてゆく」**
夜がそっと肩にふれて
思い出のほこりが舞い上がる
昨日のわたしにさよならを告げて
あなたの影を探してた
知らない街の灯りが
やけにやさしく見えた夜
心の隙間に 風が吹いて
名前もない痛みだけ残った
あなたが見ていた夢の中に
私がいたなら どうして
触れてくれなかったの
声も出せないまま
夜に溶けてゆくわたし
もう形も残らない
願いはただひとつだけ
あなたに 見つめてほしかった
ため息まじりの月に
名前を預けたのに
あなたはなにも言わずに
朝へと消えていった
遠くで鳴る救急車の音
まるで昨日の続きを告げるみたい
目を閉じて耳をすませば
あなたの名前がまだ響いてる
指先だけが覚えてる
触れた髪 ぬくもりの幻
もう届かないと知っていても
夜にしがみついてしまう
夜に溶けてゆくわたし
願いも忘れかけて
あなたの影を追いかけて
まだ 歩いてしまう
言葉にならない愛を
胸に閉じ込めたまま
答えなんていらなかった
ただそばにいたかった
もしも この空が
明日も同じ色なら
私はまた ここにいる
あなたの気配に触れるために
夜に溶けてゆくわたし
光にもなれないまま
それでも あなたの夢で
一瞬 笑えたなら
さよならも言えないまま
また 夜が始まる
あなたに見えない影で
私はここにいる
投稿者 | スレッド |
---|