








**「空に浮かぶ、あの日のこと」**
朝のホームに 光がゆれて
缶コーヒー片手に君が笑った
まだ眠たげな声で
「今日さ、どっか遠くまで行かない?」
改札を抜けたら 街はまだ静かで
イヤホンのコードが 君の肩にふれた
スマホで地図を開いて でも「適当でいいよ」って
あの時の君 どこか自由だったね
コンビニで買ったラムネ 笑いながら口に入れて
「こういうの、ひさしぶり」って言った
行き先も 予定もない日曜
だけど それが一番嬉しかったんだ
空に浮かぶ 君の声が
ありふれた午後を やさしく染めてく
忘れたふりをしてた記憶が
ポケットの奥で まだ息してた
手を振った あの駅前
言わなかったことが 胸に残ってて
でも きっと届いてるって
そんなふうに 信じてた
「また連れてってよ、あの時みたいに」
そんな言葉を飲み込んで 夜に沈む
Spotifyで探してた 君が好きだったバンド
タイトル見ただけで 涙がにじむ
ローソンの前で笑い転げた夜
くだらない話が 一番大事だった
「どこまでも行けそう」って
本気で信じてた 子どもみたいに
録音した君の声 もう聴けないけど
何度も再生して 目を閉じる
「平気だよ」って笑った声が
ずっと 耳の奥に残ってる
空に浮かぶ 君の影が
風のようにそっと 背中押すたびに
失くしたと思ってた何かが
心の奥で 光ってた
忘れたふりしてただけで
ほんとは ずっと探してた
あの声 あの笑い方を
今も 今日も きっとこれからも
夜のホームに 風が通る
君のいない街で 僕は歩く
空に浮かぶ あの日の舟
たしかに 君が乗ってる気がした
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