








**「遅れてきた花束」**
君が黙った あの日の午後のこと
ぬるい紅茶に映る 自分の顔が嫌でさ
言いかけたまま 口ごもった理由を
今なら 少しだけわかる気がしてる
窓の外に 遠ざかる背中
引き止める勇気も 優しさもなかった僕は
「なんでもないよ」って 笑ってごまかした
あれが最後になるとも知らずに
あの時 君の瞳の奥
ちゃんと見つめてたら 違ってたかな
ポケットにしまったままの 想いがまだ疼く
駅前の花屋に 君が好きだった色が咲く
どうして素直に言えなかったんだろう
「そばにいてよ」って ただ それだけなのに
誰かと笑う君の 噂を聞いた夜
思い出は都合よく 優しくなるばかりで
わがままも 不器用も 全部愛しかった
手放したのは 僕のほうだったんだ
強がりのまま置いてきた言葉
今さら名前も呼べずにいるよ
遅れてきた花束を 風に託したまま
少し枯れかけたって きっと君は笑うだろう
言葉にしなくてもわかってたとか
そんな都合のいい思い出にしてごめん
「じゃあね」って 誰にも届かない声が
夕焼けに 溶けていった
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