








**「今夜のカレーは、きみの味」**
あの角をまがって ふたり歩いた帰り道
八百屋のネオンが 揺れて笑ってるようで
きみが「寒いね」って 僕の袖をちょっとつまんで
その仕草がなぜか いまも胸に残ってる
ちょっと不器用で だけどまっすぐで
無口な僕を 飽きずに笑ってくれたね
何でもない日々が 宝物になるなんて
昔の僕じゃ 信じられなかったよ
愛してます なんて口に出すと
どこか嘘っぽく聞こえる気がして
だけど今夜のカレー 少し甘くてさ
きみの優しさが そっと沁みてたよ
それでいいんだ 僕にはわかるんだ
駅前のラーメン屋 ふたりで並んでたら
「またネギ多すぎ」って 笑いながらつついてたね
きみの何気ない そういう癖が好きだった
今さら気づくのは いつも僕のほうなんだ
未来のことなんて 考えすぎると怖くて
答えはないけど きみといれば平気だった
今日の景色さえも ふたりで見れば変わる
そんなふうにして 時間は進んでく
愛してます なんて言えないまま
ぎこちなく繋いだ あの信号の手
青に変わったら また歩き出せばいい
並んでるだけで それが幸せだった
なにも言わなくて 伝わる気がしたよ
愛してます なんて照れくさくて
気の利いた言葉 ひとつも言えないけど
背中を見送る その数秒の間に
きみの存在が どれだけ大きいか思い知るよ
やっぱり僕には きみが必要なんだ
きみのつくった カレーのにおいがする
それだけで今日は 帰る理由になる
それだけで十分さ 僕にはわかるんだ
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