








**「OVERHEAT」**
Vツインが目覚める音
まだ誰にも 聞こえてない
オイルのにおいと 焦げたタイヤ
ひび割れた路面が 今日の舞台さ
アスファルトに溶けた陽炎
昨日の迷いが煙になった
予選落ちの夜を超えて
やっとここまで来たんだ
Rコース最終コーナー
握るスロットルが 過去を巻き込む
立ち上がる煙の中
君の横顔 ちらついた
ブレーキレバーが 迷いを映す
膝を擦って 確かめるライン
「おまえ、何を証明したいんだ?」
マシンの鼓動が問いかける
転倒寸前で 記憶がよみがえる
雨の中 君が叫んだ言葉
「やるかやられるか、それだけでしょ」
その声がまだ 背中で燃える
カウルに貼った 剥がれかけのゼッケン
あれは夢の名残か それとも誓いか
君の声がレシーバー越しに
「そのまま行け」って響いた
サイドミラーには誰もいない
だけど心は振り返る
あの日 走り出せなかった自分を
風が追い抜いていく
スリップ寸前のカーブ
路面温度が奪ってく
だけど君は叫んだ
「怖さごと 走りぬけて!」
水しぶきが視界を塞いでも
君の言葉は ブレなかった
「その震えを 握りしめて」
雨音と心拍が重なる
OVERHEAT 限界超えて
心が焼き切れるまで
誰かの期待 誰かの声
全部、風圧で吹き飛ばせ
RPM(回転数) 振り切ったら
何が見えるのかなんていい
君がゴールラインに立つなら
俺は何度でも アクセル開ける
焦げたブレーキ 軋むチェーン
それでも まだ前に進める
もう「勝ち負け」じゃねえんだ
生きてるって叫びたいだけ
ピットレーン ヘルメットを外して
汗と涙が混ざる
「もう無理だよ」って つぶやいた瞬間
君の手が 背中を押した
手渡された 冷えた水
震える指がそれをこぼす
「大丈夫、あなたならまだ走れるわ」
その笑顔がすべてを溶かした
OVERHEAT 燃え尽きても
灰の中にまだ火がある
「走る意味がわからなくても」
君は俺のナビだった
トラクション 取り戻したら
世界がまた動き出す
マシンも心もボロボロでも
最後に笑えりゃいいさ
転んでも 這ってでも
君がいるなら 立ち上がれる
走るその先に まだ何かが
俺を待っている気がした
チェッカーフラッグが舞って
太陽がゆっくり昇る
「行ってこい」って 君の声
今も胸で鳴り響いてる
マシンは静かに息を止め
ただ風だけが走り続ける
残ったタイヤ痕が語るのは
誰にも見えない 俺たちの物語
俺たちのたたかいは、終わっちゃーいない
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