








**「すみれ坂のあの午後」**
ほそい路地に 夕焼け落ちて
下駄の音だけ ひびく坂道
駄菓子屋の奥 色あせたポスター
あの日のぼくが まだ笑ってる
貸本屋の窓 手作りのカバー
野良猫まるまる 昼寝してた
つぎはぎのカバン 片手にぶらさげ
追い風に押されて 君に出会った
麦わら帽子 飛ばされそうで
君が ぼくの腕をつかんだ
名前さえ 言えずに
ただ 笑っていた
すみれ坂を かけぬけた
遠くラジオが 呼んでいた
どこへ どこへ 行くんだろう
わからないまま 走っていった
すみれ坂に 手をふった
ひとり またひとり 消えてった
心だけ ポケットの奥に
ぬくもりを しまってた
神社の裏の 空き地の影で
ビー玉ころがし 声をからした
古いトタンが 夕陽に光る
誰より 君が きれいだった
寄せ書きノート ぼろぼろだけど
あの日 たしかに あった気持ち
今でも 胸の奥に
消えずにいる
すみれ坂を かけぬけた
ランドセルの背中越しに
「またな」って 手をふった
もう二度と戻れない午後
すみれ坂の あの午後を
今も そっと 歩いてる
ポケットに 初恋だけ
そっと しまってる
Ah〜 すみれ坂のあの午後〜
「また、いつか……
すみれ坂で、君に会えたらいいな。」
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