








**「11月の君へ」**
“あれが最後の秋だと 誰が気づけた?”*
“君の名前すら もう音じゃなくなっていく——。”
教室の窓 くもったガラスの向こうに
君が座ってた席 空白のまま動かない
名前を呼ばれた瞬間 誰も気づかない異常
心だけが時計の針より 先に鳴ってた
「一ヶ月だけ」って言った言葉
繰り返し 再生ボタン押してる俺
小さな笑い声も、黄色いマフラーも
どれも 消えたって言えないまま
モノクロの帰り道で 君がくれた温度
ずっとポケットの奥で 消えずに燃えてた
だけど手を伸ばせば 触れることはできない
この季節だけが 君を知ってる
November まだ終わらないで
君と歩いた 東京の影の中
誰より近くて 誰より遠かった
瞬きの間に すべてが変わった
あの踏切のベルが 今も響いてる
言えなかった「さよなら」が
今日も胸の奥 鳴り止まない
November 僕はまだ 君を見てる
校庭の落ち葉が まるで時間を刻むように
過去の匂いを連れて 靴音に混じって鳴る
カフェの角 レコードから漏れる
古いジャズが 今も心を縛る
「この先も思い出さないで」って
君が泣いた日、雨は止んでた
それが余計にリアルで
俺は空に何も言えなかった
(SE:波音と、図書室の静けさ)
“覚えてる? あの坂道の途中で君が言ったこと。”
「春は来るから、大丈夫。」
でも君は春を知らないまま——。
November 時が止まればいい
制服の袖 すれ違った午後に
未来も名前も 何もかも
君の笑顔に 吸い込まれていった
青空じゃなくていい、雨が似合う君だから
もう一度だけ 交差点で振り向いて
君は歩いて 僕は立ち尽くす
November、君がいた季節に僕は生きてる
“君がいなくなったあとも、景色だけは、同じまま。”
──でも俺は、次の学期に、君を連れて行けない。
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