








**「ひとつずつ、ただそれだけ」**
あのさ クローゼットの奥にさ
何入ってたか もう覚えてないんだよね
たぶん 何か大事だった気がしてたけど
開けたら ただの“モノ”だった
ふふ、そういうのって多いよね
「ないと困る」って言ってた靴、
ずっと履いてなかったやつでしょ?
なのに、処分する時はちょっと寂しかったりして
何にもない部屋 風が通ってさ
意外と 悪くないでしょ
今日、靴だけ持ってきたんだ
じゃあ明日は、コーヒーカップ?
ひとつずつでいい 急がなくていい
何を残すかってことが 大事なんだよね
この写真、覚えてる?
二人で撮ったやつ なんでか君だけ真顔でさ
…緊張してたんだよ、たぶん
なんか こういうの苦手でさ
でもその後、すごい笑ってたじゃん
コーヒーこぼして、服にミルクつけて
あー、あれ洗濯大変だったんだからな
(ウフフフ)
音のない部屋に やっと音楽が流れて
雨がリズムを打ってくれる
ひとつ戻るたびに、
なんか、心が軽くなる
ふたりの暮らしに必要だったのは
モノじゃなくて、思い出を笑い合えること
100のモノより 君の「おかえり」がいい
何もないけど、ちゃんとある
そういう家で生きていこう
ソファもテレビも そのうち戻るけど
まずは自分を 取り戻したいんだ
陽のあたる窓辺に 座ってコーヒー飲んで
今日がいい日だって、思えるようになった
明日はたぶん、新しい本を持ってくるよ
いいね、それくらいがちょうどいい
ひとつずつ 重ねてくだけ
暮らしって それで十分なんだね
投稿者 | スレッド |
---|