








**「さよならの手前で」**
小さなカップに残る 昨日の紅茶
飲みかけのまま 誰も触れずに
君が最後にいた 午後の匂いが
部屋の隅に まだ揺れてる
誰かの足音が 廊下を通るたび
振り返っては 空気だけが笑う
「またね」も言えなかった
言えば 本当に終わる気がして
さよならの手前で 時間が止まったまま
動けない僕を 冬の風がなぞる
過ぎてゆく日々だけが 正しくて
君はもう ここには いない
写真立ての奥 色褪せた君の顔
目を逸らしたのは 僕の方だった
言葉が怖くて 何も言えずに
沈黙だけが 二人を分けた
眠れない夜には 時計の音さえ
やけにうるさくて まるで嘲笑ってる
最後のドアの音が
ずっと 耳に残ってる
さよならの手前で 願いがほどけてく
触れられたら もう泣いてしまうから
遠ざかる背中に 「ありがとう」さえ
言えずに ただ 立ち尽くした
君がくれた鍵は もう錆びてるのに
まだポケットに入れたまま
心だけが 戻れずにいる
君がいない 朝に
あの日の雨音が 今夜も聴こえる
同じリズムで 胸を打ってくる
きっと君も どこかで
同じ空 見上げてた
さよならの手前で 声が届かなくて
言いかけた言葉を 誰にも渡せない
残されたぬくもりだけが 僕を責める
君はもう 振り返らない
ラララ ラララ 言葉にならない
ラララ ラララ 涙も出ない
ラララ ラララ 思い出だけが
まだ ここにいる
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