








**「ありがとうの行方」**
バスのホーム 秋の風
君は少し照れくさそうに
「じゃあな」って片手を上げた
私もそれに 笑って応えた
赤く染まる並木道
背中越しに手を振る君
「気をつけてね」届いたかな
胸の奥で 今も響く
ありがとうって 伝えたら
君は笑ってくれたかな
最後に聞いた エンジン音
遠ざかって 消えていく
今も夢の中
交差点の赤いライト
君が消えた 夜の道
風に滲む街の灯り
どこへ行けば逢えるの?
止まったままの時計
君を待つこともできなくて
「また明日」と言ったのに
それが最後になるなんて
ありがとうって 伝えたら
君は優しく笑ったかな
最後に見た あの横顔
止められたらよかったのに
今も胸の中
部屋に残るヘルメット
そっと触れた指が震える
「平気だよ」って言ったくせに
今も耳に残ってる
ありがとうって 伝えたら
何かが変わったのかな
言葉よりも 確かなもの
あの時 気づいてたなら
何か違ったの?
バスのホーム ひとりきり
黄昏に伸びる影
君の面影だけが
まだここにいる
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