**「灰の庭で」**
風が冷たいね
この庭、まだ君の匂いが残ってる
もう何年も経ったのにな
時間って、ほんとに全部を消すわけじゃないんだね
あの頃の僕ら、
馬鹿みたいに信じてたよな、
「この魔法は永遠だ」ってさ。
笑って言った君の声、
今でも夜になると浮かんでくる。
古い友達が言ってた、
「思い出って呪いみたいなもんだ」って。
そのとおりかもな。
もう平気なふりは慣れたけど、
心の奥じゃ、まだ火が消えてない。
君を愛した夜が まだ息してる
灰みたいに残って 僕の中に
触れられないまま でも消えもしない
まるで呪いみたいだよな
忘れたはずの声が 時々呼ぶんだ
「おい、まだここにいるぞ」ってさ
笑っちゃうよな
でも、悪くない夜だ
古いレコード回して
ウイスキーを少しだけ
窓の外、風が鳴ってる
季節がまた巡ってきたんだな
君を思い出すたびに
若かった自分まで出てくる
あの頃の俺は、ただ真っすぐで
それが全部だった
今じゃ、
誰かを想うたびに
少し距離を置く癖がついた
それでも、心のどこかでまだ信じてる
あの時の魔法を
君を愛した夜が まだここにある
痛みも優しさも 同じ場所に
老いぼれた心が まだ燃えてる
灰の庭で、ひとり 灯を見てる
忘れられないのは、
きっともう呪いじゃない
ただの、
生きてきた証なんだろうな
……おやすみ。
また夢で、会えたらいいな。
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