








**「山の方程式」**
風がまだ眠る谷で 君の声を探していた
息を合わせるたび 世界が少し傾いた
「ねえ、山の上に答えはあるの?」
「ないさ、でも登ることに意味がある」
君の瞳は 北の空のようで
真実を映さずに ただ遠くを見ていた
あなたの背中は 稜線みたい
まっすぐで、でも 触れたら崩れそう
愛は傾斜 登るほどに息を奪う
彼らは同じ夢を背負いながら
別々の方角を見ていた
霧の中で 名前を呼ぶ声が
風に攫れていく
届かない 届かない
心が山になる
言葉が崩れ 石のように転がって
それでも登る
愛を信じて登る
君が笑ったあの夏の稜線
夕陽が 二人の影を一つにした
けれど風が 名前を変えていった
呼び合うたび 見失っていった
「あなたは山を登るために生きてる」
そう呟いて、彼女は振り返らなかった
下山の道は光っていて
まるで新しい人生のようだった
届かない 届かない
愛が空を裂く
言葉を失くし ただ風になる
それでも登る
互いの影を背負って登る
君がいない山頂で
やっとわかった
愛は頂上じゃなく
歩いた道にあったんだ
届かない 届かない
でもまだ呼び合ってる
(彼・独唱)
風よ伝えてくれ
彼女の笑顔を この空の向こうへ
それでも登る
それでも登
愛を信じて 登る
山は黙って見ている
登る者の祈りを
風が答える——「まだ終わっていない」
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