








**「幻の岸辺で」**
朝の光がカーテンを透かして
まだ眠るあなたの横顔を包む
小さな呼吸の間に 私は夢を見る
あの海辺の小屋
窓を開ければ潮の香り
あなたが書き散らした紙切れが
床に散らばって 風に舞う
――それは夢だったのか
それともまだ続く物語なのか
別れは 海霧のように忍び寄る
苦しみは 波の底で絡みつく
けれど私は 沈まない
この声で 岸辺へ泳ぎ出す
夢が砕けても 現実に溶けても
私は 生まれ直すのよ
覚えてる?
あなたはいつも 靴を脱ぎ散らかして
裸足で部屋を歩き回った
ビールの缶を片手に
大きな声で笑って
でも夜になると 急に黙り込む
膝を抱えて 本を読むふりをして
誰にも触れさせない影を抱えてた
私はその影に触れたくて
でも触れるたびに すり抜けていった
――まるで夢の住人みたいに
ねえ あなたはまだここにいるの?
それとも遠い海の底で眠ってるの?
私は声を放つ
現実の岸に向けて
夢を千切りながら 叫ぶ
別れは 焼けついた空の裂け目
苦しみは 砂に沈む足跡
でも私は 立ち上がる
灰を踏みしめ 声を燃やす
幻と現実の境界で
心の叫びを 解き放つ!
「ねえ、あなた――
もしもまた夢で逢えたら
今度こそ、私を見て」
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