








**「白い影に触れるとき」**
氷の壁に 僕は影を写した
凍る静けさは 心を覗き込む鏡
「愛は縄のようだ」 指に絡みつき
一度解ければ 二度と結べない
君の声は 風に混じって遠く
問いかけても 返るのは白い残響
僕はその幻を 背にしながら
崩れる予感を 抱いて登る
深く息を吸い込むたび
胸の奥に凍る火花
消せぬ想いが 裂け目を縫って
僕をまだ支えている
氷の翼をひろげて 飛べるなら
墜ちても構わないと 囁く夜明け
君の瞳の底に 答えを探し続け
見えぬ未来を 僕は愛と呼ぶ
ザイルは運命の糸 僕を結びとめ
君の沈黙さえ 祈りに聞こえた
裂ければすべて終わる それでも
指先に温もりを 錯覚していた
夜空の群青に 白い吐息を投げ
僕の孤独は 星座を描く
君のいない明日など 地図にはなく
ただ登り続ける 理由もなく
崩れ落ちる音に怯えても
胸の奥の氷は溶けず
愛と恐れは 同じ形で
僕を締めつけている
氷の翼をひろげて 飛べるなら
砕け散る瞬間を 君に見せたい
孤独と希望の狭間で 声をなくしても
僕はまだ 君を抱きしめている
「落ちてもいい」 そう呟いた声は
誰にも届かず 白に溶ける
もし永遠があるなら きっと
君の沈黙の中にだけ
氷の翼をひろげて 飛べるなら
墜ちても構わないと 君に誓う
最後に見える景色が 君の影なら
僕はそれを 愛と呼びたい
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