








**「壁のむこうに あなたがいる」**
森を渡る 風がほら 肩にふれて消えてゆく
見えない壁の こちら側 わたしひとりで立っている
小さな小屋の 扉の奥で 静かな灯りを守ってる
灰のなかに 問いを隠し そっと手を合わせる
「そこにいますか…」 声は届かず
木の根に耳を寄せて 息を重ねた
壁のむこうに あなたがいる
鏡のように 光が差す
水に映る 影を追えば
答えはまだ 見えないまま
森の奥で 鹿の声 孤独をやさしくほどいてゆく
手紙を折り 名前もなく 机の上に置いてみる
「忘れないで…」 ただそれだけを
夜に溶かして 風にのせた
壁のむこうに あなたがいる
手のひらから ぬくもり探す
夜のしじま 星を仰ぎ
願いだけを 言葉にして
――「聞こえますか」
――「ここにいますよ」
――「きっと見つけます」
崩れぬ壁に そっと触れて
涙の跡を 隠さずに
壁のむこうに あなたがいる
森を越えて 光は来る
名もなき歌を 受け渡せば
いつか必ず 辿り着ける
壁のむこうに あなたがいる
壁のむこうに あなたがいる
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