








**「凍れる空を越えて」**
彼は立ち上がった。
凍れる空の下、影はただ一人、沈黙を抱きしめていた。
砕けた夢を背に 彼は歩みを刻む。
氷の風は心を裂き、答えなき問いは 白い深淵へと消えた。
頂は霞の彼方に隠れ、誰も彼を導くものはなかった。
だが恐怖を飲み込み、痛みを抱え、
彼はなお 一歩を進めた。
凍れる空を越えて
その足跡は 光を追い続ける。
凍れる空を越えて
砕けた魂は まだ燃えていた。
絶望の鎖を背に、彼は氷の呼吸を裂いた。
振り返らぬ瞳は ただ前を射抜き、
夕日は空を血に染めた。
その歩みは、誰にも止められなかった。
掌に残るものは 山そのものではなく、己の弱さ。
砕けた心の破片を拾い集め、
彼はそれを鋼へと変えた。
凍れる空を越えて
崩れ落ちても 彼は立ち上がる。
凍れる空を越えて
絶望さえ 切り裂いて進む。
凍れる空を越えて
血を燃やし 命を刻む。
凍れる空を越えて
彼の歩みは 永遠の証となった。
そして語り継がれる――
凍れる空を越えた者の名は、
静かなる峰に 永遠に刻まれた。
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