**「最後の稜線」**
君の笑い声 朝焼けに透けて
氷の峰まで まるで手招きするみたい
背中越しに見える 小さな揺れ
それは風か それとも胸の迷いか
雲が裂け 陽が覗く瞬間
握った手の温度 まだ確かにある
でも足跡は 雪に埋もれ
言葉よりも早く 消えてしまいそう
高く 高く 息を切らして
君と見た空は 海より青く
風は背を押す けれど心は
この峰の上で 離れたがっている
雪煙の向こう 君が振り返る
笑顔の奥に 薄い影が揺れていた
凍る指先 ロープを結び
それは約束か それとも鎖か
白い嵐が 二人を包み
声も 視線も すぐ届かなくなる
「あと少し」って 誰が言ったの
耳に残るのは 自分の鼓動だけ
高く 高く 手を伸ばして
君と掴んだ 雲の端は
冷たくても 離せなかった
もう戻れない あの日の谷へ
高く 高く 越えてしまった
二人を繋ぐ 最後の稜線
空は青く 風は優しい
でも君はいない 雪だけが光る
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