








**「あの山道の向こうに」**
足元に転がる 小さな石を蹴って
笑いながら登った あの山道の朝
君が先を歩くたび 背中が眩しくて
何も言えず ただついてく
小さなザックには お揃いのおにぎり
「頂上で食べようね」って笑った顔
汗ばむ額 拭いながら
君がくれた水の味
些細な仕草が 今も心に沁みてる
あの夏の日の記憶
君と登った夏の空 青くてどこまでも
肩を並べて見た 雲が流れていた
不器用な僕の手が 君に届きそうで
だけどあと一歩だけ 踏み出せなかったんだ
秋が来た登山道 もう君はいないのに
毎年一人で登っては 同じ景色を見る
リフトもロープも使わずに
時間をかけて登った
それが君との 小さな誓いだった
あの時交わした約束も 声も
山頂の風が さらってった
でも何故だろう この静けさが
君に触れている気がして…
君と見たあの景色が 今も僕を照らす
どんなに季節が巡っても 色は消えなくて
山の風が運ぶ 君の笑い声が
胸の奥 そっと鳴り響いてる
すれ違う登山客に 少しだけ笑って
「頂上、すぐですよ」って言いたくなる
君がいたから 僕は前を向けた
今も変わらず 登り続けてる
君と登った夏の空 あの日のままで
霞む稜線越しに 君が手を振るようで
どんな明日が来ても 心折れそうでも
あの山道の向こうに 君が待っている気がして
ザックの中の地図 君と描いたルート
今も僕のポケットで そっと眠ってる
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