








**「雨は降る、でも恋じゃない」**
ねえ 夢で会ったよね
あの日の声のままで
白いセーター 袖を噛んでた
あなたが残してった雨の匂い
「気をつけて帰ってね」
その一言が ずっと胸を叩いてる
通り雨みたいな関係でも
傘をささなかったのは私
駅のアナウンスにまぎれて
言えなかった「行かないで」
あなたがいないことに
慣れてしまうのがこわかった
夕暮れがゆっくり沈むみたいに
少しずつ消えていく恋だった
鳥の声も 風も 全部
あなたに似ているから
もう誰にも 触れられたくない
今はまだ、ねえ
あのカフェ、まだあるかな
シュガーポットの花柄
笑った横顔の奥に
見えなかった憂い
誰も悪くないって 言うけど
「それが一番ずるいよ」って思った
未来を話すたびに
過去に戻ってしまう
あなたがくれたものを
いまさら手放せないまま
潮風が頬をかすめるたびに
心が軋んで鳴くの
繰り返す 記憶のフレーズ
「好きだったよ」じゃなくて
「好きでいさせて」って
言えばよかった きっと
あの日、ドアの前で黙ってた理由を
あなたは知っていたのかな
それともただ、
私の沈黙に慣れていただけ?
“わたしだけが歩いてるみたい”
夜の高速 ライトが流れる
「忘れていいよ」って 言わないで
忘れられるわけないから
愛なんて 名前をつけなきゃ
こんなに痛くなかったのに
冷たい雨が街に降るたび
ふたりの距離 測ってる
耳の奥 残る声が
夢と現実の間で
“好きだったよ” 何度でも
囁いて 今でも
白いセーター まだ捨てられない
雨が降る、でも恋じゃない
投稿者 | スレッド |
---|