








**「17秒の火花」**
石畳が熱を抱いた
あの昼のまま止まってる
「泳ぐ?」ってお前が笑った
音が、風の中に消えた
桃の果汁が指を伝って
俺の喉がやけに渇いた
影と影が重なった部屋
息が音を失っていた
口に出せなかった「じゃあな」
バスの排気が煙る午後
名前も呼ばず、振り返りもせず
「ここで終わらせるのか?」
忘れられるかよ 俺の炎を
17秒 あの夏に焼きつけた
「コール・ミー──」って、心で叫んだ
でももう お前は
戻らない 影になった
父の声が胸を打った
「痛みも愛のひとつさ」
時計の針が過去を刻む
でも未来は誰のものだ?
暗い窓辺に映る俺
壊れたラジオが静かに歌う
鳥の声が森へ還る
けど俺だけがまだ、あの日に立ってる
呼び続けてる 記憶の奥で
桃の香りがまだ抜けやしない
「君の名で呼んで」
言えずに終わった
でも俺の中で 燃えてる火花
雪が降る音が聞こえた
暖炉の火が言葉になる
「痛みを忘れるな」
それだけが、今も俺を生かしてる
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