








**「スポットライトの向こう」**
>「俺、まだ…本気で売れるって思ってたんだよ」
>雨の音が、笑ってた。
アパート六畳 隅に積んだ台本
名前のない役ばかり セリフは三行
冷蔵庫の灯りが 夜を照らして
君の眠る背中に 声かけられなかった
稽古場の鏡が割れたみたいに
俺らの未来も歪んでた
「売れるまで、待つよ」
その言葉の重みが 怖かった
スポットライトの向こうに 君はいない
拍手のない夢を まだ続けてる
東京の朝焼け 今日も静かで
俺だけが セリフ忘れてたみたいだ
満員電車で 台本読むふり
バイトのシフトが オーディションとバッティング
二丁目の居酒屋 君が泣いた夜
「主役より、生活が欲しいの」ってさ
蝉の声が やけに遠くて
小劇場の階段 君は先に降りた
カーテンコールに 君の拍手がない
そんな芝居を 今も続けてる
照明が落ちる前に 言えたかな
「売れなくても、君といたかった」
小道具のような愛じゃなく
本番だった あの暮らし全部
手紙の裏に 君の文字
「夢だけで、生きられないね」
でもまだ俺は 舞台袖で
君の名前を 心で呼んでる
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