








**「エンジンは黙ったまま」**
助手席に 君はいない
でも 君の輪郭が そこにある
昨夜の匂いが まだ残って
それすら 疑いたくなる
口を開けば 壊れそうで
僕はハンドルを 強く握った
「どこまででも行ける」って 言ったね
それが最後の 嘘だった
エンジンは 黙ったまま
燃えないはずの想いが 焼けていく
君を乗せた 影だけが
どこかの闇を 滑っている
灰になったような タバコのあと
誰が吸ったかも わからない
君を連れて行ったのは
俺か あいつか それとも
ナビは静かに 「目的地なし」
窓の外では 雨が降ってた
あの夜と 同じ音だった
同じ…だったはずなのに
エンジンは 黙ったまま
熱はあるのに 動けない
君がいた 空気だけが
ずっとシートに 沈んでいる
コンビニの光 背中を照らす
空き地で見た 焼け跡の車
ナンバープレートは 外されていた
それでも…君の名を呼んだ
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