







**「雨の向こうへ」**
静かなバス停 ネオンの光
濡れたアスファルトに滲んで揺れる
赤と青のテールランプ
君の影を染めて消えた
「走り出したい」 そう呟いた
君の声が雨に消える
止まない想い 胸の奥で
揺れるまま
雨上がりの交差点
光る水たまりに映る二人
信号が変わるそのたびに
君の未来 遠ざかるの?
それでも今はここにいて
バスの窓が開く 湯気混じる空気
湿ったシートの匂いと
乗客たちの低い囁き
視線の先に 君はもういない
止まらないのは心の方で
立ち止まるたびに滲む景色
触れられない 触れたくなる
矛盾の中
雨上がりの風の匂い
切なく澄んだ青の彼方
いつか違う季節でも
君を忘れられるのかな
それでも今はそばにいて
ドアが閉まる 一歩踏み出せず
「行かないで」と言えないまま
バスは静かに動き出し
街の灯りに飲み込まれる
窓の向こうへ遠ざかる
流れるビルの光の中
夢の続きを探しながら
小さくなる背中
夜が更けても
雨の匂いが消えても
心はまだ
あの日のまま
投稿者 | スレッド |
---|