








**「山道の呼び声」**
「息切れすんなよ…」って笑ったけど
ほんとは俺の方が先に苦しいんだよ
落ち葉の絨毯 踏み鳴らす靴音
枝の軋む音さえ 二人の鼓動に聞こえる
冷たい尾根の風 頬を切っていくけど
お前の笑い声で 全部柔らかくなる
(やわらかく 包んであげる)
黄昏に染まる稜線 長く伸びる影
俺はわざと前を歩いて 顔を隠した
「疲れた?」って聞かれても
素直に言えず ただうなずいた
なぁ、また風が鳴って
胸ん中をあおるんだ
聞こえるだろ?
この鼓動が
戻れよ 戻れよ 山道の上で
逃げんなよ 逃げんなよ 紅葉の風に
お前の視線だけが 俺を試すんだ
(Stay… with you, そばにいたいの)
愛なんて言わねぇよ わかってんだろ
この頂きに着く前に 答えろよ
秋の鐘が 遠くで響く
(響いてる)
振り返るたびに 肩越しの笑顔
夕陽が差し込んで 目を逸らすしかない
冷えた空気の中 息が白く揺れて
言えない言葉だけ 尾根を渡ってく
(あぁ 隠せない… 気持ちがこぼれる)
崩れた岩場 手を取られて
「大丈夫だ」って言った声が震えた
その温度に気づいて
心の叫びまで 隠せなくなる
なぁ まだ笑ってんだろ
俺の強がりを
でも その笑顔さえ
悔しいほど欲しくなるんだ
戻れよ 戻れよ 尾根道の果てで
逃げんなよ 逃げんなよ 夕陽の赤に
お前の声がまた 冷たい空を裂く
(Ah— その声で 私を呼んで)
運命なんて信じねぇ だけど今は
落葉が積もるみたいに 胸が溢れる
未来の気配が 風に混じってる
「手、離すなよ」って つい強がる
「怖いの?」って お前が笑う
俺は答えねぇ 代わりに靴音を強く踏む
風のうなりが 心の代弁みたいに響いた
愛してる なんて言わねぇ
でも全部伝わってんだろ
秋が終わる前に 始めりゃいい
山道の鐘が 遠くで鳴った
(ah— 鳴り響く 愛のしるし…)
「ほら、聞こえるだろ…」
……風と鈴の音、お前と俺だけに。
(with you… with you… forever…)
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