**「夜空にすれ違う声」**
──「ねえ、名前なんだっけ?」
その問いが 胸に刺さる
呼びたいのに 呼べなくて
山の影が 赤く揺れた
水筒に残る 君の匂い
汗混じりなのに 甘くて
──「また会える?」 君が笑う
僕は答えられず ただ頷いた
夜空にすれ違う声
届きそうで ほどけていく
小さな夢に書いた言葉
誰にも読めない 恋の跡
ポケットの中 握りしめた
君の名前を 落としそうで
──「秘密だよ」 指でなぞる
風がさらって 遠くに運ぶ
握った手は 冷たかった
けれど胸は 熱く燃えた
時間さえも 追い越して
ただ 君に──
夜空にすれ違う声
君と私 ほどけて結ぶ
崖の下に落ちた約束
きっとまた 拾いに行く
──「好きだよ」
声にならず
夢の欠片だけが
朝日に 染まっていた
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