








**「灼熱の記憶」**
照り返す岩に 夏の匂い
君の息遣いが 近くて遠い
「水はまだあるよ」 笑いながら君は言う
その声に潜む 不安を知りながら
汗が滴り 瞳を曇らせても
握った手だけは 離さない
蝉のざわめき 胸を突き刺す
靴音が響く 時を刻む太鼓のように
ここで終わるのか 灼熱の稜線よ
君と誓った未来が 揺らめきの中で燃える
遠くで雷鳴 記憶を裂いて問いかける
俺は強いか? 君を守れるか?
「休もうか?」 君の声は優しく硬い
それでも背を押す 俺の影を見て
笑った顔は 真夏の光より眩しく
そして脆く 儚い
蝉時雨が叫び 心臓を煽る
「生きて帰ろう」 その一言が胸を貫いた
灼熱の記憶よ 俺たちを刻め
汗と涙で織りなす 真夏の証
「やめないで」「離さないで」
その叫びが胸を裂く
もう戻れない たとえ空が崩れても
──「ここまで来れたね」
君の声が震える
「苦しいのに、なぜか幸せだ」
俺は登る 君と登る
灼熱の稜線を越えて 陽の彼方へ
燃える魂 抱きしめながら
嵐の空に ふたりの名を刻む
夏の風よ 覚えてくれ
俺たちはここにいた
俺たちは──ここに生きた
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