








**「時のスケッチ」**
ねぇ…
思い出すって、どうしてあんなに痛いの?
ふとした風のにおいとか
人混みの中で聴いた、似た声とか
そんな小さなことで
心ごと 過去に引きずられるような瞬間って――あるよね?
私だけじゃないよね?
あのときは 未来ってもっと
広くて、 柔らかくて、 甘いもんだと思ってたの
走れば 届くって思ってた
“きっと全部うまくいく”って言い聞かせて
まっすぐ進めば 幸せはこっち来るって…
でも現実ってさ、
こっちが歩けば 向こうは引いてくみたいに
ちっとも 待ってくれないよね
それでも
あの朝焼けの中で
小さな声で願ったあの約束は
ちゃんと心のどこかに残ってる
忘れたふりは 何度もしたけど
…嘘はつけなかった
ほら、まわってるの
また今日も、
昨日の続きのようで まったく別の今日が
容赦なく流れてってさ
なのに私、まだここで
なにか描こうとしてる
いくつも消した線の上に
また色を重ねようとしてるんだよ
たとえ不恰好でも
たとえ 誰も気づかなくても
これは私の、私だけの
時のスケッチなんだよ
ねぇ、あなたにもあるでしょ
大切すぎて 語る言葉が見つからない記憶
それをどうしても抱えたまま
前に進まなきゃならない瞬間って
…あるでしょ?
私は いろんな顔をして生きてきた
強がったり、 黙ったり、 笑ったふりをしたり
でもそのたびに ふと気づくの
どれも「私」だったって
誰かの期待になろうとした日も
全部、自分で選んでたんだってことに
まわってるの 止まらずに
希望も絶望も混ぜたまま
この時間(とき)は形を変えて
また私に問いかけてくる
「あなたはまだ、信じてる?」って
…うん、私は信じてる
もう一度描けることを
今日の色で
自分の声で
だから私は
過去を責めない
未来に急がない
今を… ただ、描いてるの
線が震えてても
色がはみ出してても
それが私の 時のスケッチだから
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