








**「もう帰れないんだ」**
あの夜 何度も 君の名前を呼んでいたんだ
誰にも届かないような声で 夜の闇に溶けるように
窓の外の空は どこまでも静かで 冷たくて
それでも 何も変わらなかった 何ひとつ動かなかった
俺の時間も あの日から止まったままなんだよ
この部屋には 思い出だけが置き去りになってる
パソコンのファーンが回る音と 俺のため息だけが響く
君がいない空間に まだ君の影が残ってて
あの時 なぜ抱きしめられなかったんだろうって
そんな言葉ばかりが 胸の奥でぐるぐる回ってる
もう帰れないんだって わかってるさ 本当はわかってる
でも どうしても心が まだ君を叫び続けるんだ
「許してくれ」なんて そんな軽い言葉じゃ足りない
けどな… この痛みだけは
どうか… 置き去りにしないでくれよ
この街の灯りが いつもより滲んで見える夜
君とよく歩いたあの道を 無意識に辿ってた
誰にも見えないはずの面影を 追いかけるように
何も変わらない景色が ただ俺の中だけを変えていく
その変化が…とても静かで だけど痛くて仕方ない
誰かが言ってたんだ
「人ってのは、失ってからやっと気づく生き物だ」って
あの言葉… まるで俺のためにあるみたいだった
強がって…突き放して…
優しくなれなかった自分が 今、いちばん悔しい
ほんとに…バカだった
「前に進め」って みんな簡単に言うけれど
その「前」には もう君がいないって思うだけで足がすくむ
だけど このままじゃいけないってことも わかってる
わかってるけど… 心のどこかに
君の声がまだ 小さく響いてる
静かに… でも確かに
もう帰れないんだって それでも この心は止まらないんだ
君の名を 何度だって呼んでしまうんだ 忘れたくても
「愛してる」なんて 今さら言えないけど…
それでもこの想いは
どんな嘘より どんな罰より 本当なんだよ
もし…これが ほんとに最後の夜だとしたら
君の笑顔ひとつだけでいい それを思い出にできるなら
それだけで…少しだけ 息ができそうなんだ
でもな、正直言うと
きっと俺は… 忘れられない
絶対に… もう、忘れられない
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