








**「灯が消えるまで」**
「ねえ、最後にもう一度だけ…名前を呼んでくれたら、それだけでよかったのに」
ゆっくりと ふたつの影が
別々の明日を歩き出す
擦れた声で 君が言った
「ごめんね、ここまでしか ついていけない」
「覚えてる?あの日、雨が降ってきても、ふたりで傘を閉じたままだったよね。理由もなく笑ってた」
君が置いてったシャツの匂い
もう色も 何もないけど
触れた瞬間 ふっと
あの日の温度が 揺れだす
灯が消えるまで この場所で待ってる
君の背中が 振り返るその日を
目を閉じて 君を思えば
まだ心が 痛いままだから
灯が消えるまで ここにいるよ
「何も言わずにいなくなるなんて、君らしいよ。優しすぎて、不器用で…そういうとこ、ずるいんだ」
夢の中で 君に触れても
朝が来ると 全部嘘になる
時計の針は 進むのに
心だけ ずっと止まったまま
「どこにいてもいい。誰といてもいい。ただ…僕のこと、ほんの少しでいい、思い出してくれたら」
夜が終わるたびに
置いてきた言葉が疼く
「さよなら」の意味さえ
君だけが知ってた気がした
灯が消えるまで 君の名を呼んでた
崩れた夢の 破片を抱いて
優しさに背を向けても
君だけは 忘れたくなかった
灯が消えるまで 信じていた
「僕の中で、君は今も笑ってる。あの日のまま、雨の匂いの中で」
誰かの腕に抱かれて
幸せそうな君を想う
涙なんて流さない
その横顔に 今もまだ手を伸ばす
灯が消えるまで 君を守りたかった
壊れた空に 手を伸ばしてた
もしも時を戻せるなら
今度はちゃんと愛せたはず
灯が消えるまで ここにいるよ
「さよなら、なんて言わないよ。まだ、ここにいるから」
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