








**「風の手紙」**
潮の香り まだ残る朝
赤瓦の屋根に 陽が昇る
あの日君が 教えてくれた
南風(ぱいかじ)の向こう 青の深さ
石畳の坂を下りながら
手を振った君の背中
何気ない日が 宝物になるって
あれは 嘘じゃなかったんだね
月桃(げっとう)の花が揺れるころ
君の声が また聴きたくなる
この島の空に願いが届くなら
誰より先に 風になって
君の心が 波に守られますように
抱きしめた 小さな夏の影を
今もまだ 胸に灯してる
珊瑚の浜に 名をなぞって
波がさらってゆくけれど
消えたわけじゃないと知ってる
この海は すべてを抱くから
「じゃあね」って言えなかったから
ずっとここに 残ってしまった
でもそれは 優しい痛みかもしれない
きっと明日も 君を想う
願いが ふたつ目に変わるなら
君の涙が 星に届きますように
夜が来ても 怖くないように
島唄が そばで響くように
願いが 永遠に続くのなら
君の笑顔を 風に残しますように
さよならを 言えないこの胸で
またいつか 君に会えるまで
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